ロッキテクノロジー 技術コラム

なぜ今、正負電源
再び求められているのか?

AI・IoT時代のアナログ回路設計を支える、正負出力型ローノイズ電源の重要性を、開発者向けにわかりやすく解説します。

正負電源とローノイズ電源の技術コラム ロッキちゃん
この記事でわかること
  1. AI・IoT時代にアナログ回路が重要な理由
  2. 正負電源とは何か
  3. 単電源化が進む中で正負電源が必要な理由
  4. ローノイズ電源が評価・開発で重要な理由
  5. SRD-15PN / ENB-15PNの特徴と用途
ロッキちゃん

ロッキちゃんのひとこと難しく見える正負電源を、「開発現場でなぜ必要なのか」という視点で整理します。主役はあくまで回路と電源。私はポイントだけ、やさしくナビゲートします。

1.AIが進むほど、アナログ回路の重要性は下がるのか?

AI、IoT、エッジデバイス、医療機器、ロボット、産業機器など、さまざまな分野で「データの質」が重視されています。しかし、AIが扱うデータは、最初からきれいなデジタルデータとして存在しているわけではありません。

温度、振動、音、圧力、電流、微小電圧など、現実世界の情報はセンサーによって取得されます。そして多くの場合、その入口にはアナログ信号があります。

つまり、AIやデジタル制御が高度化するほど、その前段にあるアナログ回路の品質が、システム全体の精度を左右するようになります。

現実世界の信号チェーン
センサー
温度・振動・音
アナログ回路
増幅・フィルタ
ADC
デジタル変換
AI・制御
判断・予測

ここでノイズが乗ると、後段のAI判断や測定結果にも影響します。

2.正負電源とは何か

正負電源とは、GNDを基準として、プラス側とマイナス側の両方の電圧を供給できる電源です。たとえば、+15Vと-15V、+12Vと-12Vのように、GNDを中心として上下の電圧を扱います。

デジタル回路では+5V、+3.3V、+1.8Vなどの単電源が一般的ですが、オペアンプ回路、センサー信号処理、計測回路、オーディオ回路などでは、GNDを中心に上下する信号を自然に扱いたい場面があります。

単電源
+5VGND

GNDより下の信号を扱いにくい

正負電源
+15VGND-15V

GNDを中心に上下する信号を扱いやすい

ロッキちゃん

ロッキちゃんのポイント正負電源は“古い技術”ではありません。アナログ信号を素直に扱いたいときの、今でも重要な基本選択肢です。

3.なぜ単電源化が進んでも、正負電源は必要なのか

近年の電子機器では、小型化・省電力化・低コスト化の流れから、単電源で動作するICや回路が増えています。これは自然な流れです。

しかし、研究開発、試作評価、計測、センサー信号処理、医療機器、産業用装置などでは、今でも正負電源が必要になる場面があります。

オペアンプ回路入出力範囲を広く取りたい場合や、GND付近の信号を自然に扱いたい場合に有効です。
センサー信号処理振動・音・微小電圧など、正負に揺れる信号を扱う評価環境で役立ちます。
研究開発・試作電圧条件を変えながら動作確認したい場面では、調整可能な正負電源が便利です。

4.開発者が困るのは「ちょうどよい正負電源が少ない」こと

正負電源が必要な場面は残っています。一方で、市場全体としては単電源化・モジュール化が進み、正負出力型の使いやすい電源製品は以前より探しにくくなっています。

特に困るのは、量産品の電源というより、開発・評価・試作の現場です。

「オペアンプの評価をしたい」「センサー回路を試作したい」「±12Vや±15Vで動作を確認したい」「ノイズの少ない電源で測定したい」。こうした用途では、単に電圧が出ればよいわけではありません。

開発者にとって重要なのは、使いやすさ、出力の安定性、ノイズの少なさ、サイズ、組込みやすさです。

5.ローノイズ電源が重要な理由

アナログ回路では、電源ノイズが信号品質に影響することがあります。特に、微小信号を扱うセンサー回路や高ゲインのアンプ回路では、電源由来のノイズが測定結果や評価結果に混入するリスクがあります。

試作段階では、回路そのものに問題があるのか、電源品質が原因なのか、判断しづらくなることもあります。そのため、開発・評価環境では「まず電源を安定させる」ことが重要です。

開発現場でよくある課題

「回路を変えていないのに波形が安定しない」「測定値にばらつきが出る」「ノイズ源の切り分けに時間がかかる」。こうした場面では、信号系だけでなく、電源品質の見直しが有効な場合があります。

6.SRD-15PN / ENB-15PN:開発・評価を支える正負出力ローノイズ電源

SRD-15PNは、アナログ回路の試作・評価用途に適した、正負出力型のコンパクトベンチ電源です。±1.8V〜±15.0Vまで調整可能で、シリーズレギュレータ方式、デュアルトラック方式が特徴です。

ENB-15PNは、アナログ回路を搭載した機器への組込み用途に適した正負型電源基板ユニットです。評価治具、専用装置、センサー信号処理ユニットなどに組み込みたい場合に検討しやすい製品です。

試作・評価向け

SRD-15PN

正負出力型コンパクトベンチ電源。オペアンプ回路、センサー回路、アナログ評価環境で、±電源を手早く用意したい開発者に向いています。

  • 出力電圧:±1.8V〜±15.0V
  • シリーズレギュレータ方式
  • デュアルトラック方式
  • オペアンプ回路やセンサー評価に最適
組込み向け

ENB-15PN

アナログ回路を搭載した機器への組込みに適した正負型電源基板ユニット。専用装置や評価治具などへの実装に適しています。

  • アナログ回路搭載機器への組込みに最適
  • コンパクトな基板タイプ
  • 評価治具や専用装置への実装に好適
  • センサー信号処理ユニットにも対応
ロッキちゃん

ロッキちゃんの選び方メモ机上で評価するならSRD-15PN。装置や治具に組み込みたいならENB-15PN。開発フェーズに合わせて選ぶとわかりやすいです。

7.どのような開発者に向いているか

SRD-15PN / ENB-15PNは、一般消費者向けの商品ではありません。特定の開発現場で明確な課題を持つ方に向けた、ニッチで実用的な技術製品です。

回路設計者オペアンプ、フィルタ、アナログフロントエンドなど、正負電源を前提とした回路評価を行う方。
試験評価担当者電源条件を変えながら、波形・ノイズ・動作安定性を確認したい方。
研究開発部門センサー、計測、医療、ロボット、半導体関連の試作・検証環境を整えたい方。

8.まとめ:デジタル化の先に、もう一度アナログ電源の重要性がある

AI・IoT・エッジデバイスの普及により、世の中はますますデジタル化しています。しかし、現実世界の情報を取得する入口には、今もアナログ信号があります。

そのアナログ信号を正しく扱うためには、センサー、アンプ、フィルタ、ADCだけでなく、それらを支える電源品質が重要です。

正負電源は決して過去の技術ではありません。センサー信号処理や高精度計測、研究開発の現場では、これからも必要とされる基盤技術です。

Rokki Technology

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